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整形疾患ナビ
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ぎっくり腰

  ぎっくり腰(急性腰痛症)がおこったとき

1.症  状

 突然出現する強い腰痛のことを一般的にはぎっくり腰と呼んでいますが、実体はよくわかっていません。

 整形外科的にはMRI検査をすると、腰椎椎間板ヘルニア(脊椎ナビ2)であることが多いのですが、他の病名がつく場合もあります。問題なのは他の重度な病気であったり、整形外科的に緊急治療を要する場合があることです。以下に列挙する症状と疾患はできるだけ早く病院に行きましょう。
 
1)体位に無関係に痛みがおこり、楽になる姿勢がない場合
   →できるだけ早く総合病院もしくは救急病院受診をお勧めします。
 
2)冷や汗がでる、吐き気を覚える、熱があるなどのいづれかの症状がある
   →大動脈解離(血管外科)、子宮外妊娠(婦人科)
    急性膵炎・胃潰瘍穿孔(消化器科)、尿路結石(泌尿器科)
    化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎(整形外科)
 
3)動く時に強く痛み、楽な姿勢がある場合
   →数日以内に整形外科受診をお勧めします。
 
4)足にしびれや麻痺がある
   →腰椎椎間板ヘルニア症(脊椎ナビ2)の重症型
 
5)高齢者、体動困難が続く
   →骨粗鬆性脊椎骨折(脊椎ナビ9
 
6)次第に腰痛が悪化する
   →稀ですが転移性脊椎腫瘍の可能性もあります。

 

2.検  査
1)MRI検査;
   腰痛の原因が腰椎に有る場合、ほとんどの原因がわかり大変有用です。
 
2)エックス線検査;
   腰椎の骨の状態がわかります。
 
3)血液検査;
   炎症を伴っているかどうかという判断に使われます。

 

3.治療および病気について
 ぎっくり腰は急性腰痛の一般的な呼称と言えます。問題は腰痛の原因がどこにあるかということです。すなわち急性腰痛の原因こそが一番の問題なのです。急性腰痛をおこす疾患は整形外科以外にもあるからです。たとえば大動脈解離では命にかかわりますので、まず救急病院の整形外科で早急に診断を受ける必要があります。その他子宮外妊娠などの婦人科の病気、急性膵炎や胃潰瘍の穿孔などの消化器科の病気、尿路結石などの腎・泌尿器科の病気などもできるだけ早く総合病院を受診する必要があります。整形外科の腰痛との鑑別点は姿勢に関係ある痛みかどうかということが大変重要です。ある姿勢をとれば楽な状態が保てるようであれば、むしろ家で安静にしていたら数日で痛みが軽減し、それから整形外科を受診して構いません。しかし腰の姿勢にかかわりなく、痛みがでる場合には上記の重要な病気の可能性を考え、総合病院を受診した方が良いでしょう。また熱発していたり、冷や汗がでるような強い痛みを伴っている場合も同様に、他科の疾患の可能性を強く考えます。
 整形外科に関係する腰痛では熱発している場合には化膿性脊椎炎が最も疑われるので、早急な診断治療が必要になります。特に高熱後の腰痛であったり、発熱を伴う腰痛の場合には早急に整形外科を受診して、X線検査、MRI検査、血液検査を受ける必要があります。また下肢の強いしびれや麻痺などを伴う場合には、いたずらに家で安静にしていることなく、整形外科を受診してください。腰椎椎間板ヘルニアに伴う神経症状を疑います。高齢者の場合は外傷の有無にかかわらず、骨粗鬆性の脊椎圧迫骨折を疑う必要があります。MRI検査で早期に診断をつけて体幹ギプス固定をする必要があります(骨粗鬆症の項目で詳述します)。