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足関節捻挫

  足関節捻挫・靭帯損傷

1.症  状
 
1)足関節外側(図42・図43;外くるぶしのまわり)の痛み。
 

2)足関節外側の腫脹や皮下出血 

(図42)

(図43)

 

2.検  査
1)エックス線検査;
   骨折の有無の確認に必要です。また陳旧性(古傷)の靱帯損傷の場合には外果(外く
   るぶし)先端に、剥離した丸い骨片(古い捻挫のあと)を認めることがあり、診断の
   助けにもなります。第5中足骨基部に圧痛があった場合には足の2方向X-P検査で第5中
   足骨骨折(図43)(いわゆる下駄骨折)の有無を確認します。その他靱帯損傷の程度
   を視覚的に確認する方法としてストレスエックス線検査がありますが、最近ではほと
   んどの症例で保存的治療がなされているため、侵襲の強いストレス撮影は必須の検査
   ではなくなりました。靱帯再建術予定の症例では各種ストレス撮影を行います。
 
2)MRI;
   距骨の骨軟骨損傷(足関節の軟膏がはげること)などX-P検査だけでは見逃しやすい合併
   症の発見には有用であるが、必須ではありません。

 

3.治療について  
 足関節外側の外くるぶしの周辺、特に前方が腫れて、皮下出血を伴っている時には、そのほとんどが外側靱帯損傷です。初期の24時間はできるだけ冷却しておくと効果的です。病院受診まではしっかり冷やしておくのがよいでしょう。病院では診断後、軽症の場合は湿布弾力包帯固定で事足ります。その他の大部分は足関節機能装具(がっちりしたサポーター)を約4週間することで、ほとんどの疼痛がとれます。疼痛が強く装具だけでは荷重困難な(足がつけられない)場合には、一時的にギプス固定をする場合もあります。疼痛が喪失した後も専門医に不安定性のチェックを受けます。特に前方引き出し症状が残っている場合にはさらなる装具療法とリハビリを平行して行います。
 陳旧姓の場合も足関節機能装具療法で事足りることが多いですが、不安定性が残存し、何度も捻挫を繰り返す場合には、手術(靱帯再建術)を受けた方が良いと思われます。

 

4.薬剤について
 痛みの程度によって消炎鎮痛剤を処方します。初期には湿布などの外用剤が有用です。

 

5.病気について
 捻挫を何度も繰り返したり、X線で陳旧姓の剥離骨片がある症例を見ることがしばしばです。いづれも単なる捻挫と馬鹿にして、病院にかからなかったり、初期治療の際にしっかりX線検査を受けなかった患者さんが多いようです。単なる捻挫と見られがちですが、程度の差こそあれそのほとんどが靱帯損傷です。何度も捻挫を繰り返したり、不安定性のある足関節でスポーツを続けたりすると、距骨の骨軟骨損傷(軟骨がはがれること)や変形性足関節症の原因になり、中高年になって、足関節の慢性疼痛で苦労することになります。初期のX線検査では足関節の外果、内果、後果、距骨、第5中足骨などの骨折の有無をしっかり診断してもらう事が大変重要です。